歯が溶ける「酸蝕症」とは
歯が溶ける「酸蝕症」とは
「酸蝕症(さんしょくしょう)」は、酸が原因で歯のエナメル質が徐々に溶けてしまう状態を指します。
この状態は、特に酸性の食べ物や飲み物、または胃酸の逆流が頻繁にある場合に発生します。酸蝕症は、初期段階では自覚症状が少なく、進行すると歯が薄くなったり、敏感になったりすることがあります。
酸蝕症の主な原因
食事習慣
酸性の食品や飲料(炭酸飲料、フルーツジュース、ビネガーを含むものなど)の頻繁な摂取。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流し、これが口腔内に達することで歯のエナメル質が溶ける。
口腔内の乾燥
唾液が少ないと、酸を中和する力が弱まり、酸蝕症のリスクが高まります。
逆流性食道炎との関係
酸蝕症と逆流性食道炎(GERD)の関係は、口腔内の健康において重要なポイントです。
逆流性食道炎は、胃酸が食道を逆流し、時には口腔内まで達する状態を引き起こします。胃酸は非常に強力な酸性物質で、口腔内に到達すると歯のエナメル質を溶かすことがあります。
これが酸蝕症の原因となります。
逆流性食道炎が酸蝕症に与える影響
胃酸の性質
胃酸の主成分である塩酸は、pHが非常に低く(強い酸性)、歯のエナメル質を溶解する能力があります。
通常、胃酸は胃の中で消化を助ける役割を果たしますが、逆流性食道炎により、この強い酸が食道や口腔内に到達することで、歯が酸による損傷を受けるのです。
エナメル質の損傷
胃酸が口腔内に達すると、歯の表面にある硬いエナメル質が徐々に溶解され、これが酸蝕症として現れます。
特に夜間に逆流が起こる場合、唾液の分泌が少ないため酸が中和されず、エナメル質にさらに悪影響を与えることがあります。
進行する症状
酸蝕症が進行すると、歯が黄ばんで見えたり、噛むと痛みを感じたり、感覚が敏感になることがあります。
また、歯が薄くなり、さらに酸による損傷を受けやすくなる悪循環が生じることもあります。
酸蝕症と逆流性食道炎の関係は、歯の健康において非常に重要です。適切な予防策と早期の対処が、酸蝕症の進行を防ぐために不可欠です。
対策と予防
酸蝕症を予防するためには、酸性飲料の摂取を控える、食後すぐに歯を磨かない(酸で軟化したエナメル質がさらに損傷するのを防ぐため)、そして逆流性食道炎の治療を積極的に行うことが重要です。
また、フッ素入りの歯磨き粉を使用することで、エナメル質を強化することが推奨されます。
酸性飲料の
摂取を減らす食後30分から1時間は
歯を磨かない
(酸によるエナメル質の
損傷を防ぐため)フッ素入り歯磨き粉
を使用して
エナメル質を強化する逆流性食道炎の
治療を受ける
歯科治療の選択肢
酸蝕症は進行すると歯に深刻なダメージを与えるため、早期発見と予防が非常に重要です。
進行した酸蝕症の場合、歯科医は被せ物や詰め物、またはクラウンの使用を提案することがあります。
これにより、既に損傷を受けた歯を保護し、さらなる損傷を防ぐことができます。
- 早期治療
- フッ素塗布や適切な歯磨き剤の使用で進行を防ぐことが可能です。
- 進行した場合の治療
- 詰め物やクラウン、歯列矯正などが必要になることがあります
- 専門的なケア
- 当院では、酸蝕症および逆流性による歯の損傷を防ぐための専門的なケアを提供しています。
- 患者様へのサポート
- 個々の患者様に合った治療プランを提供し、生活習慣のアドバイスも行います。